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2019年5月 6日 (月)

本の旅 バッグをザックに持ち替えて 08稜線に惹かれて(南八ヶ岳)

蓼科山から見た南八ヶ岳の稜線がとても美しくて、著者は翌年南八ヶ岳に行きました。    

八ヶ岳は北と南では山容が大きく違い、南八ヶ岳は荒々しい岩稜帯や急登の多い地形です。南八ヶ岳の主峰は赤岳(2899m)で難易度は55で上級レベルです。累積標高差1485m、標準時間は8時間45分ですので、日帰りは大変な山です。難易度を他の山と比較してみると南八ヶ岳の蓼科山が41、丹沢山(塔ノ岳)が40で中級レベル、例えば剱岳は90で超上級レベルとなっています。

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「せっかく登るなら八ヶ岳最高峰の赤岳を狙いたい。ただ日帰りは難しいので、赤岳鉱泉(約2220メートル) で一泊することになった。登山口は長野県茅野市にある美濃戸(約1720メートル) で、そこの駐車場に車を置いて出発した。」  

南八ヶ岳は、赤岳を中心として様々なルートがあり人気の山ですので駐車場の確保が大変です。

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最初の休憩地点・堰堤広場まで2キロほど、標高差約300メートル、一時間弱を歩いて短い橋を渡ったらここからが山道になります。そこからは水量豊かな沢沿いを川音を聞きながら歩きますので、快適なハイキング気分です。

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赤岳鉱泉は山小屋気分が味わえて大人気の宿です。登山口から34時間ですので山歩きを楽しみながらここに泊まりに行くだけでもいいかもしれません。 

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「赤岳鉱泉からは阿弥陀岳、赤岳、横岳、硫黄岳の連なつた峰を望むことができる。それもびっくりするほど間近に見える。明日登る山が実感できるのは嬉しい。そして、有難いことに温泉がある(夏季のみ)。」 

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「夕食は名物のステーキ。初めて食べた時はびっくりした。だって山小屋でステーキ! もちろん美味しい。日替わりで煮カツやシチユーの時もあるという。飲み物も、生ビールを始め、ワインや日本酒も置いてあるのでついつい頼んでしまう。といっても、翌日のこともあるのでほどほどにしておく。」  

上高地の「徳澤園」もステーキの宿として有名で、一度は泊まりたい山小屋といわれています。山小屋ライフを楽しむなら、室堂のみくりが池温泉も一押しです。山歩きをしてこんな見事なステーキが食べられるなんて最高です。 

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「部屋は個室を予約した。別料金がかかるが、それくらいの賛沢は許そう。個室はいくつかあって、私たちが泊まったのは四つのベッドがある洋室だ。ベッドがあることにも驚いたが、部屋自体が広いので、荷物も広げられるし、ゆったりと過ごせる。更に羽毛布団なので暖かい。」

山小屋というよりもロッジといった方がいいかもしれません。著者は涸沢に行ったとき3畳の部屋で3つの布団に5人で寝たという凄い経験をしましたが、それに較べたら五つ星ホテルのようです。

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赤岳の山頂を目指す前に著者は赤岳鉱泉までは何度も通いました。何度目かに登ったある日のこと・・・。

「その日は天気もよく、意気揚々と赤岳鉱泉を出発した。徐々に勾配がきつくなってゆく。登るのは地蔵尾根と呼ばれる一般ルートだ。樹林帯を抜けたところで、目の前に崖が目に入った。崖。そう、少なくとも私にはそうにしか見えなかった。でもその崖にハシゴと鎖が設置してある。 まさか、ここを登るの?」 

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「行くぞ」 リーダーの声に、私は自分に言い聞かせた。ハシゴや鎖があるのだからそれに掴まっていれば落ちることはない。とにかく頑張るしかない。そうやって必死に三分の一ほど登ったところで、上から人が下りて来た。どういうこと? 登りが優先じゃないの? しかし、あちらはどんどん下りて来る。鎖は一本しかない。どうやって擦れ違うのだろう。」

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「ちょっとトラバース (斜面を横断)しよう」  そう言ってリーダーは鎖から手を放すと、横へと進んでいった。状況がわからないまま、私もそれに倣った。そして3メートルほど進んだところで、ハッと我に返った。瞬間、身体が硬直した。ここは崖だ。なのに鎖はない。岩の斜面のちょっとした出っ張りに、ようやく登山靴を乗せて、私は今、立っている。左側は絶壁。ここで足を滑らせたら。「無理、無理、無理、絶対に無理」立ち竦んだまま、私は叫んだ。」

画像は北アルプス大キレットでのトラバース。見るだけで足がすくんでしまいます。 

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「ぐったりして八ヶ岳連峰最高峰・赤岳山頂に到着。富士山がくっきりと見える。ああ登ってよかった――。もう一泊したい……。そう思いながら、やっとの思いで下山した。」  

著者はこの時は、リーダー(夫)とロープで繋いでトラバースを乗り切りました。 

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「辛い思いや怖い思いもしたけれど、赤岳はやはり素晴らしい山だ。何度登ってもまた行きたくなる。あんなに怖かった地蔵尾根も今は平気になった。その後、天狗岳、硫黄岳、横岳、阿弥陀岳と登るようにもなった。北も南も、八ヶ岳は魅力溢れる山である。」

浅間山や八ヶ岳などで経験を積んで、著者は意識していたのかしていなかったのか、徐々にヒマラヤに向かっていきます。

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