旅の記憶 パタゴニア物語 ペンギンコロニー
2016年2/6(土) ビーグル水道は180年前にダーウィンが通った海路、この日の天気は無風快晴と絶好のクルージング日和でした。
青い海そして紺碧の空。これ以上何を望めばいいのだろうかという美しい景観でした。
あちこちに水面に顔を出した岩礁に、白と黒の色模様の生き物が何となく動いているのが見えました。ペンギン?と思ったのですが。
船が近づいてよく見るとウミウでした。ウミウが2本足で立っている姿はまるでペンギンでした。
これ以上ないクルージング日和に、船上の観光客たちも大はしゃぎで、とても賑やかでした。
ビーグル水道という名前の通り、ここは外洋に面しているわけではなく内海ですので風がなかれば静かなもので、その静かな水面を切り裂くように高速クルーズ船は徐々にスピードを上げました。
途中、アルゼンチン海軍の練習用の帆船に出会いました。所々に小さな氷河が白く輝く山脈を背景に、もし帆を満帆に張ったら、碧い海と青い空の中でさらに美しい姿を見ることができたのにと贅沢なことを考えてしまいました。
海面は穏やかだったのですが、上空は多少風があったのでしょうか、パタゴニアには似つかわしくないか細い儚げな雲が幾筋か水平に流れていました。
次から次に現れる岩礁の上には何かしらの生物が棲みついていて、ここはオタリアのコロニーでした。
暖かい陽射しを浴びて、これ以上ないというくらいグッタリと体を横たえていました。きっととても気持ちが良かったのでしょう。
私たちが乗った高速クルージング船は2階建てで、私たちは2階のVIPルーム(そういう貼り紙がセロテープで貼ってあっただけなのですが)を割り当てられました。売店やトイレは1階にありましたので下に降りてみると、普通席もとても快適でした。
低い丘陵をもつ島に近づくと、浜辺には点々とごま粒ようなものが見えてきました。
ごま粒のよう見えたのは「マゼランペンギン」の群れでした。よく見ると一羽一羽はそれぞれ自分の周りに一定のスペースを確保していました。
まるで私たちを見学でもしようというかのように浜辺にもゾロゾロと・・・。
私たち観光客も船縁から体を乗り出して、ペンギンたちとご対面となりました。どちらが見ているのか見られているのか。
一羽一羽をよく見ると、首をかしげたりボンヤリしていたりと人間と同じように個性があるようで可愛いものでした。
中に、クチバシが赤く足がオレンジ色のペンギンがいて、これはジェンツーペンギンという種類で70羽が生息しているそうです。 “ジェンツー” という言葉は、ポルトガル語で異教徒というそうです。いわば少数民族で、仲間はずれにされないのかとかいじめはないのかと心配になりました。他に皇帝ペンギンも数羽いるとのことでしたが見つけることはできませんでした。
これだけのペンギンやオタリアやウミウが生息しているということは、この海域には餌となる魚などが豊富にあるということで、ペンギンたちは陸上の姿からは想像できないスピードで海中を泳ぎ回って餌を捕食していました。
船上はペンギンの出迎えにお祭り騒ぎでした。小さな船は上陸できるのですが、大きな船は上陸できず、私たちは上陸できませんでした。
一通りの生物ウオッチングを終えて船室に戻ると、ウイスキーケトルを持ち込んでコニャックを旨そうに飲んでいる奴が。私も酒飲みですが、私以上の飲んべえがいたとは。
今回のツアーには男性は6人(女性は5人)が参加していましたが、さすがパタゴニアまで来ようという人はよく言えば個性的、悪く言えばアクが強くワガママ、勝手し放題という人が多く、中でも代表格だったのがこのお二人。私の前に座ったダルマさんのような人は東京から参加のMさん、奥のサングラスの強面は関西から参加のSさん(ウィスキーケトルの持ち主の飲んべえ)。このお二人とはとても仲良くなり、楽しい旅となりました。
ウシュアイアの港に戻る途中、途中の小さな港で下船する人たちもいました。その桟橋にいたおじさんも味のあるおじさんでした。南の宛ての郵便局の局長おじさんも味がありましたし、こういう人がいると気分がホンワカとして、この地域に親しみを感じてしまいました。
私たちは、ビーグル水道の景色もそこに暮らす生き物たちの姿に感動して、無事に帰港しました。港の背後の山にはいつの間にかパタゴニア名物のモクモク雲が湧いていました。
かつてこの水路を辿ったダーウインは、豊かなこの海域の豊穣さにきっと驚き歓喜したことと思われました。
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